孤独死発生→遺族全員が相続放棄。大家として事故物件を抱えた元新聞記者の全記録と教訓

不動産投資

新聞社を退職し、いくつかの物件から安定した家賃収入を得ていた2025年夏。

その一つだったあるマンションの管理会社から一本の電話が入りました。

「ヨネコさんが所有されている〇〇〇号室から異臭がすると、同じマンションの住人がおっしゃっています。入居者と連絡がとれず、部屋のインターホンを押しても応答がありません」

嫌な予感。管轄の警察署に電話し、室内に一緒に踏み込んでほしいと依頼しました。

予感は的中。室内で一人暮らしの男性が亡くなっていました。

大きな衝撃を受けるとともに、不動産オーナーとしてさまざまな手続き・費用との闘いが始まった瞬間でもありました。

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孤独死現場の衝撃と、突きつけられた「相続放棄」の現実


1Kの室内で亡くなっていた入居者は60代の男性。ご冥福をお祈りいたします。

現場の詳細を書くのは控えますが、暑い時期に、死後およそ2週間が経過。状況はお察しいただけるかと思います。警察によると事件性はなく、病気か事故で亡くなったようでした。

事件性がないとはいえ、発見が遅れたために異臭などが発生し、特殊清掃が入った状況から「事故物件」に該当。つまり、告知義務が発生します。

大家としてまず直面したのは「誰が特殊清掃代を支払い、遺品を整理するのか」という問題。

男性は離婚し、今は独身。普段この物件の管理を委託している不動産業者を通じ、男性の息子さんに連絡をとりましたが、返ってきたのはなんとも非情な通告でした。

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「私も、父のきょうだいも、相続を放棄します」

どうやら息子さんは、父親に借金がある可能性を考え、相続放棄を決断したもよう。なるほど・・。

相続を放棄すると、特殊清掃費用やその間にかかる家賃を支払う義務も、遺品を持ち帰る義務もなくなります。

つまり、特殊清掃や遺品処分の費用は大家の私が負担することに。その上、事故物件は次の入居者が決まりにくく、売却するとしても相場よりかなり安い金額でしか売れません。

私は頭を抱えました。

「事故物件」として売却へ。200万円の損害を被る

まずは特殊清掃の業者を探すことから始めました。

ネットで検索し、評判の比較的良さそうな?業者に連絡をとり、現場を見てもらったところ、特殊清掃+消臭+遺品処分で合計70万円との見積もり。

不幸中の幸いで、その後70万円については、加入していた火災保険の特約が生きて全額が戻ってきました。

ただ問題は、残された物件の「これから」です。

所有し続ける場合、まず大幅なリフォームが必要。さらに、入居者を募ってもなかなか決まらず、家賃をかなり引き下げなければならないでしょう。

そこで、出した結論は「売却」でした。

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物件の管理を委託している不動産業者を頼り、売却先を探したところ、手を挙げてくれたのが東南アジア出身の若い実業家でした。

手を挙げてくれてありがたかったものの、かなり値切られましたね。

相場価格のおよそ5分の1。それでも、このまま持ち続けても客付けに苦労するであろうことや、その間の月々の管理費・積立金がかさむことを考えると、早く手放すことが得策だと思い、その金額をのみました。

思い返せば、男性に入居いただいてから6年が経過していました。

毎月の家賃収入を得て、物件の購入費用をようやく半額ほど回収できた時点で孤独死が発生。そして売却金額は安価だったため、結果的に私は、この物件に関わったことで200万円ほどの損害を被ったことになります。

事故物件の当事者となって学んだ、大家がとるべき2つの防衛策

この事案から、不動産投資におけるリスク管理の重要性を痛感しました。

これから不動産投資を始める方、いま物件をお持ちの方にぜひとっていただきたいのは2つの防衛策です。

①「孤独死保険」や「賃貸保証会社の特約」に加入する
今回、私が失敗したのは、孤独死保険や賃貸保証会社の特約に加入していなかったことです。

賃貸物件で入居者が孤独死した際、大家が負担する特殊清掃や遺品処分の費用、家賃損失などを補償する制度です。大家のリスクを軽減するため、特に高齢者への賃貸で需要が高まっています

今回はたまたま、火災保険の特約が生きて特殊清掃や遺品処分の費用を賄うことができましたが、孤独死保険や賃貸保証会社の特約に加入していれば、家賃損失も補填できた可能性があります

デジタル・アナログの両面で、入居者を見守る
特に一人暮らしの高齢者の場合、日頃からさまざまな手段を通して生活状況を把握しておくことが大切です。

今回のケースでは、入居者の男性が6年間、家賃を滞納することなくきっちり払い続けてくれており、私は「優良な入居者」とみなして安心しきっていました。

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ところが、男性は亡くなる1年ほど前に体調を崩し、勤務先を退職。その後は無職だったようです。私は、その事実を知りませんでした。

もし、男性が会社勤めを続けており、連日顔を合わせる同僚たちがいれば、自宅で一人亡くなっていたとしても発見はもっと早かったことでしょう。

ここで私は後悔しました。

大家として定期的に男性とコミュニケーションをとっていれば、「一人暮らしの60代が会社勤めをやめた。孤独死の可能性に注意を払わなければならない」と気づき、いろいろと手を打てたのではないかと。

そこで、特に一人暮らしの高齢者に物件を貸している大家のみなさんにお伝えしたいのは、

警備会社などが提供している高齢者の見守りサービス(センサーやカメラ、自動メール・電話、IoT家電など)の導入をぜひ、検討してみてください。

ということです。

あと、アナログな手段としては、定期的に入居者を訪問してコミュニケーションをとったり、物件を訪れてポストに郵便物がたまっていないかを確認したりする手もありますね。

ちなみに、同じく不動産投資をしているわが妹カメコ(かつて不動産会社に勤務)は、生存確認を兼ねて入居者に対し、毎年のお誕生日に数千円のギフトカードを贈っているそうです。

そうすることで、何かあった時に連絡をもらえるような関係を築いておくのだとか。

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孤独死は、一人暮らしが増える現代において、大家が避けては通れないリスクの一つです。

しかし、正しく備えていれば、そこまで恐れるものではないはず!

私の苦い経験が、どこかの大家さんの助けになれば幸いです。

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